未分割遺産として調停を成立させ、遺言無効確認訴訟を提起したという事案
50代 女性の方からご依頼いただいた事件です。
相談前
事件概要
父死亡により相続人は母と兄と妹(依頼者)。
母は認知症で施設に入所中。
遺産は不動産を中心に8億円以上(路線価計算)。兄が自分が跡取りと主張し,妹に相続放棄を迫った。
そこで、妹(依頼者)は遺産分割調停の申立てをした。
ところが、遺産分割調停係属中母が死亡。亡母には,独自の遺産はなかったが,父からの相続分について、兄に相続させるとの内容の公正証書遺言があることが判明した。
そこで,母が相続する予定の分については未分割遺産として調停を成立させ,遺言無効確認訴訟を提起したという事案。
相談後
解決結果
一審:遺言無効を確認する。
控訴審:遺言無効を前提に相続分2分の1ずつの遺産分割を内容とする和解成立。
弁護活動
亡父の遺産分割調停において,母は認知症であったことから,調停成立が真近となった段階で成年後見の申立てをする予定であった。
ところが、調停中、依頼者が、兄から母の財産は自分が管理するからと言われたということで、不信を感じ(公正証書遺言を作成するとまでは予想しなかったが)、成年後見の申立てを早め、開始決定を得た(医師の診断を得るについて兄から妨害があったりした)。
後日、成年後見の開始決定は、公正証書遺言の作成から6カ月後であったことが判明した。
大野 康博弁護士からのコメント
成年後見の開始決定を得、母親の認知症の状況についての資料が揃っていたことから、公正証書遺言とはいえ、十分勝訴できると考えていた。
しかし、それがなければ、遺言能力がないことを立証することはかなり困難であったと思われる。
兄の発言を聞き、不信を感じて即成年後見申立てをしたのが良い結果につながったと思う。